2022年1月より、筋病理診断依頼例全例を対象に、筋疾患既知原因遺伝子115遺伝子を網羅したパネルによる筋疾患既知原因遺伝子の変異スクリーニングを実施します。今後筋検体をお送りいただく際には、遺伝学的解析用に血液検体を別途送付してください。ただし、遺伝学的解析で既に診断がついている方については、別途ご相談ください。詳しくはこちらをご覧ください。
2015年7月より行って参りました筋病理診断例全例を対象としたポンペ病酵素活性測定スクリーニングですが、2017年12月末受付分をもって終了することとなりました。筋病理所見からポンペ病が疑われる場合には、これまでと同様、杉江秀夫先生、福田冬季子先生にお願いして酵素活性測定を行って頂きます。
疾病研究第一部では、メディカルゲノムセンター(MGC) ゲノム診療開発部との協力で、神経・筋疾患の各種診断サービスを行っています。特に、当部では、筋病理診断と遺伝学的解析を行っています。これまで筋疾患診断支援事業で行った筋レポジトリーを基盤とした研究において、一見後天性筋疾患に見える例でも遺伝性のものが存在することが分かりました。そのような症例を見逃さないために、2022年1月より3年間、これまで日本人2名以上で見つかった筋疾患既知原因遺伝子(115遺伝子)を搭載する遺伝子パネル(HMパネル)を用いて、全例で遺伝学的解析を行います。 つきましては、2022年1月~2024年12月の間、筋病理診断をお申し込みされる場合は、凍結固定した筋検体・病歴用紙・同意文書に加えて、遺伝学的解析用に血液検体を別途お送りください。ただし、遺伝学的解析で既に診断がついている方については、別途ご相談ください。詳細はこちらをご覧ください。
検体到着から診断の報告までの日数の目安(検体が正しく固定されている場合)
3-4週間 | 筋病理診断報告書 |
6ケ月 | ウェスタン解析・遺伝学的解析の報告 |
- コルクの上に固定されていない検体については、1ケ月から2ケ月に一度、まとめて立て直してから染色を行います。この場合、報告は上記日数よりもさらに1~2ケ月遅れることになります。
- 年末・年始、大型連休を挟む場合にはさらに日数が掛かります。
- 治療法選択などの理由で、どうしても診断を急ぐ場合は、ご連絡頂ければ最大限対応致します。
筋生検は技術的には簡単で、合併症も殆どありません。しかし、採取した筋肉片は微細な構造変化を見るために使われますので、丁寧な採取が必要です。外科医・整形外科医が採取した場合でも、病理標本として不適切な検体がしばしば見られます。筋生検に際しては、下記の点にご留意下さい。
- 採取部位の決定には、事前に骨格筋画像(MRIやCT)を撮像し、軽度〜中程度に障害されている筋を選択して下さい(検体とともにDICOMデータをお送り頂けると幸いです)。
- 筋炎を疑う場合には、必ず事前に骨格筋MRIを実施、浮腫性変化がある部位から検体採取を行って下さい。
- 腓腹筋は病理診断が困難であることで有名な筋です。腓腹筋に限局した症状や所見がある場合を除き、原則として腓腹筋からの筋生検は避けて下さい。
- 筋内には局麻薬を浸潤させないで下さい。
- 採取時には、血管採取時のように検体を糸で縛らないで下さい。
- 採取部分に対しては、電気メスを使用しないで下さい。
- 詳しくは、「筋生検・固定手技解説ビデオ」(日本語版)を参考にしてください。
- 初めて筋生検や検体の固定をなさる場合には、必ず経験者の下で行ってください。もし、経験者がいらっしゃらない場合には、一度ご相談下さい。
- 凍結固定操作は、コルクの上にトラガカントゴムを用いて検体を立てた上で、液体窒素で冷やしたイソペンタンで急速凍結する必要があります。
- 腎組織などのように、検体をOCTコンパウンド(Tissue-Tek)に埋めて凍結させないでください。
- 一旦凍結させた検体は、溶けないように細心の注意を払って下さい。
- 凍結固定を病院の病理部任せにしていませんか? 一般病院では、筋生検の件数が少ないため、病理部での凍結固定の経験が乏しい場合がよくあります。主治医が責任を持って、固定を行ってください。
- 詳しくは、「筋生検・固定手技解説ビデオ」(日本語版)を参考にしてください。
- 初めて筋生検や検体の固定をなさる場合には、必ず経験者の下で行ってください。もし、経験者がいらっしゃらない場合には、一度ご相談下さい。
正しく固定された光顕観察用標本
生検筋は患者さまが痛い思いをして提供されたものであり、大切に扱う必要があることは言うまでもありません。私達にとって、輸送時の凍結サンプルの融解ほど悔やまれることはありません。以下の事項を参考にしていただき、くれぐれも輸送時の融解がないようにして下さい。
❷用意するもの
- 発泡スチロールの箱: 20 cm ×23 cm×30 cm、23 cm ×23 cm×23 cm程度 (KARUX KC-3, KC-5など)。
- ドライアイス:箱を隙間なく埋める程度に多く入れる(4kg程度)。決して、新聞紙などで隙間を埋めたり、ドライアイスを紙で包んだりしないでください。
- 容器:凍結検体を乾燥しないように密封できる容器に入れ、容器が直接ドライアイスに触れるようにする。
- 血液:EDTA (2Na または 2K) :成人10ml、小児5ml
*分離剤入りは使用しないでください。- 同意文書(2020年4月21日改訂) :必ず、当方所定の用紙で、患者さま(または親権者)から承諾を得ていただくことが必要です。
- 病歴用紙(2022年11月11日改訂)
- 骨格筋画像(DICOM)データ:筋疾患診断に有用ですので、可能な限り併せてお送り下さい。
❸ご注意いただくこと
- 電子顕微鏡用の検体は、固定液(通常グルタールアルデヒド)からバッファー(カコジレートバッファーなど)に移し、凍結を避け別便でお送り下さい。
- 当方への到着が金曜日・週末・祝日とその前日・年始年末とならないようにして下さい。
- 遠方の場合は航空貨物(日通航空など)をご利用下さい。
- 原則として、検査会社に検体の輸送を任せないで下さい。
- 検体の梱包と発送は、他のスタッフに任せることなく、必ず、依頼される先生ご自身が責任を持って行って下さい。
- 料金着払いは受け付けません。
- プライバシー保護のため患者情報はFAXでは送らないで下さい。
送り先・お問い合わせ
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1
国立精神・神経医療研究センターMGC検体受付窓口「筋病理係」
Tel:042-346-1770
E-Mail:
※結果に関するお問い合わせは、当方検体番号をご記載ください
関係書類のPDFファイルがダウンロードできます。