先進脳画像研究部では、磁気共鳴画像(MRI)を中核とした統合イメージング研究、分子設計・標識合成技術と動物用ポジトロン断層撮影法(PET)を駆使した分子イメージング基礎研究、並びにブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)やニューロフィードバックに代表される神経情報工学研究を推進します。
脳は、環境から外部情報を受け取り、先天的・後天的に構成された基準(バイアス)に基づいて情報の価値を判断し、個体の行動を決定します。この過程には、多くの神経細胞が集団として関わりますが、神経細胞内の情報伝達は電気的に、神経細胞間の情報伝達は化学的に行われます。多くの細胞集団が織りなす電気・化学的情報伝達網の動的変化が、知覚や運動から認知、意識や意思決定に至る複雑な神経機能(「こころ」)の基盤と考えられます。そして、精神・神経疾患や発達障害の病態の背景には、脳内の電気・化学的情報伝達網の構造的あるいは機能的不調があります。
先進脳画像研究部では、脳内の電気・化学的情報伝達網の構造と機能と疾病によるその不調を統合的に画像化し(「統合的イメージングとは」を参照)、抽出した情報に基づいた適切な介入を行う新しい神経情報工学技術の開発を目指します。
花川 隆
Takashi Hanakawa, M.D., Ph.D.
博士(医学)、神経内科専門医・指導医、総合内科専門医
徳島県出身。1991年に京都大学医学部を卒業。1996年まで京都大学附属病院、天理よろず相談所病院で神経内科を中心に臨床研修。1999年京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系特例早期修了。2000年より米国国立保健研究所臨床研究員。京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター助教を経て、2005年11月より国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第七部第一研究室長。2008年に日本神経科学会奨励賞、同年より科学技術振興機構さきがけ「脳情報の解読と制御」領域・研究者併任。2011年7月よりIBIC分子イメージング研究部長。2013年6月に改組により先進脳画像研究部長(神経情報工学研究室長併任)。現在の主な研究テーマは、多次元神経情報解読・介入技術開発とその神経可塑性研究への応用、ブレイン・マシン・インターフェイス、身体制御と認知制御の統合的理解に基づく精神・神経疾患の病態解明。
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